AIに「報告書」を書かせるのを、やめた
一時期、お客さま向けの報告書をぜんぶAIに書かせていました。半年やってみて、やめました。その理由を書いてみます。
去年の秋から半年ほど、お客さま向けの月次報告書を、ほぼ全部AIに書かせていました。
便利は便利だったんです。でも、半年やってみて、ちょっと前にやめました。今日はその理由を、書いてみます。
最初は、すごく楽だった
報告書って、地味だけどけっこう時間を取る仕事で、1社あたり毎月1時間くらい。3社分で3時間が消えていました。
それを、AIに「今月の議事録を要約して、定型のフォーマットに入れて」と渡したら、3社分が30分で終わるようになったんです。
これはすごい、これからはこれで行こう、と思いました。
でも、3ヶ月目あたりから、違和感
3ヶ月くらい続けたあたりで、ちょっとした違和感が出てきました。
お客さまから返ってくる反応が、心なしか薄くなっていたんです。
前は「いつもありがとうございます」「来月もよろしくお願いします」とちゃんと返ってきていたのが、報告書をAIに任せ始めてから、たまに既読すらつかない月があった。
最初は気のせいかな、と思っていたんですけど、何回か続くと、これは何かあるなあ、と思いました。
文章は整っていたのに
不思議だったのは、出てくる報告書の文章は、むしろ前より整っていたんです。
誤字もない。論理の流れもきれい。情報も漏れなく入っている。客観的に見れば、たぶん前のわたしの手書きより、上手だったかもしれません。
なのに、なんで反応が薄くなったのか。しばらく考えました。
「あなたから来た」がなかった
ある日、お客さまの一人と打ち合わせをしていて、その方がぽつっとこう言ったんです。
「最近の照井さんの報告書、なんかちがう人から来てる感じがする」って。
これは効きました。
そうか、お客さまは、報告書の中身だけを読んでいるんじゃなかったんだ、って気づいたんです。「照井さんが、自分のために、自分のことを考えて、書いてくれた」という、その手触りごと読んでいた。
文章としては整っていても、その手触りが消えると、お客さまにはちゃんと伝わってしまう。
やめたあとの、4ヶ月目
それで、4ヶ月目から、報告書を書く作業を、自分の手に戻しました。
もちろん、ぜんぶ手書きじゃありません。AIに整理させる部分は、いまも使っています。議事録の要約とか、数字の集計とか、そういう部分は機械の手のほうが早いし、正確です。
でも、最後の「今月のひとこと」と、お客さま宛の書き出しの2〜3行だけは、自分の手で書くようにしました。
その日の自分の体の感覚で、その月のお客さまのことを思い浮かべて、自分の言葉で書く。たいてい15分くらいです。
たった2〜3行で、変わった
たった2〜3行を自分で書くようにしただけで、お客さまの反応がすぐ戻ってきました。
「今月もありがとうございました」が返ってくる。「ここの一行、すごく嬉しかったです」と言われる。
ああ、お客さまが本当に求めていたのは、たぶんこの2〜3行だったんだなあ、と思いました。
機械の手が、苦手なこと
機械の手にはたくさんのことができます。早い、正確、休まない。
でも、ひとつだけ、たぶん本質的に苦手なことがあります。それは「相手の顔を思い浮かべて、その人だけのために言葉を選ぶ」という作業です。
これは、こちらが現場に通って、その人と何度も話して、体で覚えた手触りがないと、出てこないんですよね。
やめることで、戻ってきたもの
報告書をAIに任せるのをやめてから、お客さまとの関係は、すこしずつ前みたいに戻っていきました。
楽になることだけを追いかけると、どこかで大事なものを落とす。便利な道具に慣れすぎると、それに気づくのが遅れる。
機械の手に渡していい仕事と、自分の指紋を残しておくべき仕事は、たぶんどの現場にもある。その線引きを、自分で決めておくこと。
これが、AIと長く健やかに付き合うための、たぶんいちばん大事なルールなんじゃないかな、と思っています。
この種の整え方を、自分のお店や会社でも試してみたい方へ。
「うちの場合はどうかな」と一言、送ってください。
仕組みからお話しします。